VACHERON CONSTANTIN HISTORIQUES 92239 YG ROMAN DIAL
ヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク 92239 YG ローマンダイアル
Ref.92239は90年代の"Les Historiques"(ヒストリーク)コレクションとして販売されていました。このヒストリークは現在もヴァシュロン・コンスタンタンのコレクションとして存在し、1755年から続くブランドのアイコン(象徴的)となるタイムピースを復刻して現代風にブラッシュアップしたものを販売しているんです。
このヒストリークコレクション、基本的にはプラチナやピンクゴールド、イエローゴールドといった素材を採用しています。最近ではステンレススチール素材の見直しを受けてステンレススチールも採用しながら最高級の時計を生み出しています。
1755年の創業当初からマニュファクチュールとして続いてきたブランドだからこそ、全てのモデルにおいて細かな仕様や設計図、パーツのデータが残っているんです。さすが創業以来、一度も途切れること無く続いてきた世界最古の時計ブランドと言えますね。
どれぐらいのモノが残っているかというと、懐中時計・腕時計・置時計などの1500の時計、工房で使われていた800種類に及ぶ機械や道具、創業当時の家具などがヴァシュロン・コンスタンタンには残っているそう。
ヴァシュロン・コンスタンタンの創業者であるジャン・マルク・ヴァシュロンの洗礼証明書なんていう書類まで現存しているっていうから凄いですよね。
創業者のジャン・マルク・ヴァシュロンとはどんな人なの?と思いますよね。簡単にご紹介。
ジャン・マルク・ヴァシュロンは織物職人の5人兄弟の末っ子としてスイス・ジュネーブで生まれました。幼い頃から父親に商売のいろはを教え込まれていたそう。そして1755年、ジャン・マルク・ヴァシュロンが24歳の時に自分の時計工房を立ち上げました。この時計工房が2022年の今も続くヴァシュロン・コンスタンタンの始まりとなったんです。
今年で267年目となるヴァシュロン・コンスタンタンですが、ブランド名の由来が何か気になりません?ジャン・マルク・ヴァシュロンという名前なのでヴァシュロンというのは分かるのですが、コンスタンタンというのはどこから来たのか?と思いますよね。話は1810年から経営を引き継いだジャック・バルテルミー・ヴァシュロンの時に移ります。
ジャック・バルテルミー・ヴァシュロンがトップに立ってからは、より複雑な時計を製造するようになり、その技術力を持ってフランスやイタリアに輸出をするようになりました。
そんな中、あったフランソワ・コンスタンタンという、ジャック・バルテルミー・ヴァシュロンとは同じジュネーブ出身・同い年のビジネスマンと知り合います。このフランソワ・コンスタンタンも複雑で洗練された時計がこれからは必要だと思っていたことでジャック・バルテルミー・ヴァシュロンと意気投合。その結果「ヴァシュロン&コンスタンタン」(Vacheron et Contantin)というブランドができた、という訳です。
これで謎が解けましたね。ヴァシュロン・コンスタンタンという名前はヴァシュロン一族の名前とコンスタンタンを合わせたものだったんですね。ちなみに、1970年にはヴァシュロン&コンスタンタンの「&」がなくなり、現在の「ヴァシュロン・コンスタンタン」になりました。
フランソワ・コンスタンタンはかなりできるビジネスマンだったようで、世界各地を行商し、ヨーロッパだけで無くアメリカやアジアにまで進出を果たしたそう。技術力と販売力ががっちり組み合わさった理想的な形ですよね。
このヴァシュロン&コンスタンタンというブランドの誕生とともに、もうひとつよく知られた逸話があります。ブランド誕生からわずか数週間後の1819年7月5日にフランソワ・コンスタンタンがイタリアのトリノから1通の手紙を新たにパートナーとなったジャック・バルテルミー・ヴァシュロンに送りました。そこには後にブランドの信条(社是)にもとなる次のフレーズが書かれていました。
「できる限り最善を尽くす、そう試みる事は少なくとも可能である」
ヴァシュロン・コンスタンタンにはこのことが260年以上経った今でも変わること無く受け継がれているんです。
ケース径は33mm。ヴィンテージの手巻き時計はこのサイズ感を求めているという方も多いと思います。
ゴールドxホワイトxブラックのカラーリング。シンプルなバーハンドとスモールセコンドのバランスが良いんです。
こんな感じの小物と合わせると全体的に統一感が出て良いかもです。ブラックxゴールドは高級感と落ち着きがあって好きなカラーリング。
同じリファレンスの92239でケースサイズも同じですが、受ける印象は全然違いますよね。
シンプルな手巻き時計こそ様々なブランド・年代・デザインなどがあって奥が深い。何を基準に選ぶかは人それぞれですが、やっぱり良いと呼ばれるもの、何百年も続くブランドには続くだけの理由があるんです。
ヴァシュロン・コンスタンタンというと、今でこそラグジュアリースポーツウォッチのオーヴァーシーズが有名ですが、これは267年も続く歴史の中で見てみると1977年に創業222年を記念して作られた「222」からなのでまだ45年ほどのこと。(それでも十分長いですが)
やっぱりブランドの中心となるのは懐中時計の時代から続く、職人によるエナメル加工やギョーシェやコート・ド・ジュネーブ装飾、クロノグラフやパーペチュアルカレンダー・ミニッツリピーターなどの複雑機構を備えたムーブメントをつくる高い技術力なんです。
どんなジャンルでも、本当に良いものはそれなりのお値段がしますよね。時計も同じで、ひとつの時計にかけられている、職人の手間や素材・製品のクオリティが価格に反映されるのは仕方がないこと。
何よりヴァシュロン・コンスタンタンのような時計は作られている数がオメガやロレックスなどに比べて極端に少なく、市場に出回る数も少ないといった点も希少性ということに繋がるかと思います。
ワインやウイスキーと同じように「時間」というロマンのようなものを買うという楽しさもヴィンテージ時計にはあると思うんです。その時代にしか作れないものを買って、使う楽しさを感じてみませんか?