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ThrowBack 2021.1 KANOSUKE DISTILLERY 嘉之助蒸留所 - Arbitro
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ThrowBack 2021.1 KANOSUKE DISTILLERY 嘉之助蒸留所

旅の目的地として蒸溜所見学を設定して、その周辺の土地を巡る。

そんな楽しみ方も良いですよね。

お酒と言えばビール、たまにワインぐらいかなー?という方も、蒸溜所を見学してウイスキーが作られる過程や歴史・職人さんの想いなんかを知ると、自然とウイスキーが飲みたくなってくるかもしれません。

国産ウイスキーと言えば山崎や響などのサントリー、竹鶴や余市のニッカ(アサヒ)なんかが有名ですが、それ以外にもイチローズモルト(ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所)が国産ウイスキーでは有名どころ。

調べてみると上記のところ以外にも小規模ながらウイスキーを生産している蒸溜所が10ヶ所以上あるそうです。主に日本酒の蔵元がウイスキーも生産しているというみたいですね。

そんな国産ウイスキーで2017年創業、というまさにこれからのいまは知る人ぞ知る的な蒸留所が今回紹介する鹿児島の嘉之助蒸溜所。

その蒸溜所に行ってきましたので、どんな場所や設備・雰囲気で作られているのか少しでもお伝えできればと思います。

嘉之助蒸溜所について



嘉之助蒸溜所

小正醸造株式会社 嘉之助蒸溜所

KANOSUKE DISTILLERY

住所:鹿児島県日置市日吉町神之川845‑3

TEL:099-201-7700 FAX:099-201-7711

Mail:info@kanosuke.com

アクセス: JR鹿児島本線「伊集院」駅からタクシーで約15分 (鹿児島駅から約40分)


蒸溜所の受付とショップ

2017年にスタートした嘉之助蒸溜所ですが、こちらをやっているのは焼酎で有名な鹿児島の小正酒造なんです。



パーキングから見える景色。抜けてます。向こうの方に見えるのが小正酒造。芋焼酎を作っているところです。


エントランスへ行くまでにあるサイン。シンプルですけどオシャレですね。

この案内に沿って歩いていくとレセプションがあります。



入り口の方を振り返ると、こんな雄大な景色がバーンと見えます。この日は天気も良かったのでかなりきれいに見えました。



受付とショップを兼ねたスペースがまた良い雰囲気。天井が抜けていて、奥がガラス張りになっているので開放感が抜群です。


W.Cのサインも◎この壁の仕上げもあえてこういう仕上げにしてあるのが良いんです。



このレセプションに入って待っている時間は期待感を上げてくれます。



樫(オーク)樽に入れて熟成させた「メローコズルエクセレンス」という米焼酎(上の写真の焼酎です)も買って帰りましたが、美味しいのでおすすめです。

少し早く着いたのですがこの日の見学は私たちだけということもあり、少し早いけど見学スタートしますか〜と柔軟な対応をして下さりました。

見学コースなので案内専門の方がいるのかなーと行く前までは思っていましたが、まさかの職人の方がマンツーマンでみっちり説明をしてくれるという何とも贅沢な時間を過ごせました。

蒸溜所の見学

見学は小正酒造・嘉之助の歴史からウイスキーができるまで、ウイスキーの製造現場や熟成樽を近い距離で見れて学べ、そしてバーで試飲まで楽しめます。


この小正酒造の2代目が1957年にウイスキーやブランデーを参考に、米焼酎を樽に貯蔵して熟成させて作った「メローコズル」という焼酎が有名です。(今も買えます)


話が逸れましたが、その2代目がメローコズルを軸としたテーマパークを作ろうとした土地に(残念ながら実現はしませんでした)今の4代目の社長が「世界に通用する蒸溜所を作りたい」という想いから、嘉之助蒸溜所をこの土地に作ったそうです。

そんなストーリーがあるってかなり素敵ですよね。



2017年からスタートしてまだ3年ですので建物やポットスチルなんかもピカピカでした。

担当の方はやっと3年熟成のウイスキーが出せるということでワクワクされてました。

仕込みと呼ばれる「糖化」や「発酵」の過程の説明を職人さんが詳しく、分かりやすく説明してくれます。

こんな間近で見れる機会なんてそうそう無いので、すごいですね。

次に「蒸溜」を行い、最後は「熟成」貯蔵を行います。

嘉之助蒸溜所最大の特徴は、ポットスチル(蒸溜器)が3台あってそれぞれ角度が違うということ。

通常は2度蒸溜を行いますが、その2度目の蒸溜の際に角度が違うポットスチルを使うことにより原酒の味わいや香りに違いを出しています。

熟成はこの蒸留所内にあるスペースに置いてありますが、海のすぐ近くなので潮風が直接あたるような環境のため「天使の分け前(取り分)」と呼ばれる熟成中に水分やアルコールが少しずつ蒸発してしまう分量がかなり多いそうです。

かなりウイスキーにとってはかなり過酷な環境だと職人の方は仰ってました。それはそれで潮の香りがウイスキーにほんのりと香るので良いかもですけど。

最終的な製品の量が目減りしてしまうということはその分価格にも反映させないといけませんが、嘉之助蒸溜所さんは今のところそれよりも先に商品を世の中に出して広めることを優先させています。

近い将来、蒸溜所のほど近くにもう少しゆっくりと熟成させられる環境の貯蔵庫を作る計画ということでした。スペース的にも今の場所ではそのうちに一杯になってしまいますからね。

この熟成をしている樽についてもお話をして頂きましたが、白ワインを熟成させていた樽やバーボンウイスキー樽、ホワイトオーク樽、樽熟成米焼酎「メローコヅル」が貯蔵されていたアメリカンホワイトオークの樽などに入れて熟成をしているそうです。

様々な試みをされているので、3年後・5年後・10年後と時間が経過した時にどんな味わいのウイスキーが出てくるのか、これからますます楽しみですね〜。


THE MELLOW BAR (メロウ・バー)

何と言ってもこちらのメインのひとつは「THE MELLOW BAR」という試飲をさせてもらったバー。


嘉之助蒸溜所のデザインを担当したのがあのランドスケーププロダクツ。

プレイマウンテンやTas Yard、BE A GOOD NEIGHBOR なんかをやってるところです。

何でもランドスケーププロダクツの方が同じ鹿児島出身という縁で手掛けられたそう。

またこのバーがすごいんです。


ヘリンボーン張りの床、10m以上もある一枚板のカウンターに、嘉之助蒸溜所のためにデザインされた椅子。

この椅子ですがランドスケーププロダクツが嘉之助蒸溜所のためだけにデザイン・制作した特注のラウンジチェアなんだそうです。(職人さんが教えてくれました)


これがプロトタイプ。実際に作られたチェアのモデルがこれで完成形が...


このデザインに。(すいません。正面から撮るの忘れました)

この椅子がまた座り心地がめちゃめちゃ良いんです。


大きくとられた窓から見える砂丘と海が最高でした。


天井や床など、ウイスキーの蒸溜所だけに木材を多く使ったインテリアが最高です。

これは真似したい。ソファ席のテーブルが少しミッドセンチュリーな雰囲気でちょっとしたレトロさがありつつモダンな感じ。

そしてBGMはレコードプレーヤーから流れてきます。



写真では伝わらないかもですが、雰囲気が◎



職人さんが違いを説明してくれながら飲む美味しいお酒、座り心地の良い椅子、窓から見える海。何時間でも居られます。


入ってすぐのカウンター。通常時は担当の方がいらっしゃるスペース。

このカウンターもウイスキー樽に使っていた木材やポットスチルに使う銅板を使ってます。こだわりがあって全てストーリーがありますね。


ルイス・ポールセンっっぽいデスクライトもおしゃれ。


銅板も時間の経過とともにエイジングされていくと思われます。


土壁も左官職人の手塗り。そこにシンプルなドライフラワーをかけるってセンス良いですね〜。


お酒・ロケーション・インテリア・雰囲気(居心地)のどれも◎

将来的には普通のバーとしても営業するかもというお話もありました。近くに住んでたら週3ぐらいで通いたいですね。



こんな感じでさすが、建物やインテリア・全体の空間なんかもかなり良い感じでした。トータルでデザインされているので、どこを切り取ってもお洒落。

何ヶ所か蒸溜所の見学に行きましたが、ウイスキー作りはもちろん、ここまでモダンでデザイン性に富んだところは国内になかなか無いんじゃないでしょうか?

他の蒸溜所はもともと一般消費者に見せるような作りにはなってないので見学という側面が強いですが、嘉之助蒸溜所は今現在ウイスキー作りをしている職人さんが熱い想いを説明してくれて「お客さんも一緒にウイスキーを作って(育てて)いきましょう」という姿勢が感じられる蒸溜所でした。

鹿児島は美味しいものもたくさんあって(回転寿司と黒豚なんかはレベルが高すぎです)、桜島という日本でも珍しい活火山があったりと何日いても楽しい場所です。


(少し離れているところから撮影しました。イタリア・ナポリのヴェスヴィオ火山に似ていると呼ばれている桜島。)

ウイスキーを普段飲まないという方でも、デザインや建築に興味があれば間違いなく楽しい嘉之助蒸溜所。どんな方面からでもまずはこういう蒸溜所の存在を知って興味を持つことから始まると思うんです。

今はまだ知名度はそんなに高くない蒸溜所かもしれませんが、要チェック。

職人さんが丹精込めて作っている、そんなモノづくりをアルビトロの視点からどんどん紹介していきたいなと思っています。

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