RICOH Dynamic Wide 25J DayDate
RICOH Dynamic Wide Day Date リコー ダイナミックワイド デイデイト 25石
1960年代後半〜1970年代前半に製造されていたリコー(理研光学工業)のダイナミックワイド。
リコー名義になっていますが、その裏にはあるストーリーが隠れています。簡単にご紹介すると、もともとは TAKANO(高野精密工業株式会社)にいた技術者の方たちが1959年の伊勢湾台風のダメージで経営が悪化、その影響をもろに受けて『タカノ』ブランドが無くなってしまいます。
その元タカノの技術者達がリコーに移った後、このダイナミックワイドを生み出したと言われているんです。
TAKANO(タカノ)は1899年に「高野時計製造所」という名前で、主に掛時計を作る会社として誕生しました。
1913年に別会社の「合資会社高野金属品製作所」を設立、1924年には「高野時計製造所」と「合資会社高野金属品製作所」の2つの時計工場を合併して「合資会社高野時計金属製作所」を設立しました。
この高野時計金属製作所は戦時中、時計の他に電気器具の製造から兵器の製造も行っていました。
1938年には「高野精密工業株式会社」を設立。
1956年頃から腕時計の製造を開始してからわずか4年後の1959年に伊勢湾台風によって名古屋の笠寺工場が壊滅的な打撃を受け、1か月半に及ぶ操業停止を余儀なくされました。
その後、再開を果たしましたが伊勢湾台風で受けたダメージは大きく、経営悪化のため1962年に理研光学工業株式会社(現在のリコー)に吸収されて「TAKANO タカノ」というブランドは姿を消したという、実質わずか4年間程しか腕時計を製造していなかったタカノですが、シチズンやセイコーと肩を並べるぐらい評価が高かったのはあまり知られていないかもしれません。
1959年にはタカノが設計・製造した、世界最薄の腕時計という謳い文句で販売された「タカノシャトー」は今でも多くのファンを持つ人気の時計です。
世界で最も薄いムーブメントを作ることができる技術者が、このリコーのダイナミックワイドも設計・製造したと考えるとワクワクしますね。
そんなストーリーがあるリコー ダイナミックワイドはロレックスのデイデイトにかなり影響を受けたデザイン。
こんなオシャレなデザインの時計が純国産なんです。
ラグのスッキリしたデザインなんかも◎ ケース径もロレックス デイデイトと同じでちょうど良いサイズ感。
リューズにはRICOHの「R」の刻印。風防もこの年代らしいぽっこりのプラ風防です。 ムーブメントは25石の自動巻き。石数は多ければ多いほど良いということでは無いですが、多いほど高級品という認識でも間違いないかもです。
この石の役割は部品の摩耗(消耗)を防ぐという意味があります。 「RICOH WATER PROOF ALL STAINLESS」という刻印はステンレス製で防水性があるケースですよ、という意味。
これは発売当時に「防水性がある時計」で売り出していたということなので、ドレス系などに見られる「スナップバック式(はめこみ式)」蓋をヘラのようなオープナーでぱかっと開けるタイプに比べて防水性が高いということなんです。
ヴィンテージ時計を買うときのひとつの目安として、この時計のようなスクリューバック式(ねじ込み式)になっているタイプの裏蓋やワンピース構造になっている時計を選ぶと、普段使いの汗なんかもある程度はいけると思っても大丈夫。(個々のケースの劣化具合によりけりですが。。) こんな1960年代のヴィンテージの国産時計も、職人さんにきっちりオーバーホールをして仕上げてもらっていますのでムーブメントの問題も無し。
リコーという国産ブランドを知っている人はそうそういないですが、国産時計にも良いものはいっぱいあるんです。
価格的にも手が出しやすいっていうのも良いですよね。